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【8/24開催】製薬×データサイエンスMeetup2024:製薬業界のデータサイエンスイベント事務局に直撃!9社共同イベントの舞台裏

データサイエンティストやデータエンジニアに向けて、医療・ヘルスケア領域におけるデータ活用の取り組みを紹介する「製薬×データサイエンス Meetup」。毎年1,000名以上の応募があり、大きな反響を呼んでいます。第4回の開催を控え、企画担当者による座談会が実現。「なぜ競合9社が共創するのか」「イベントの見どころとは何か」その舞台裏に迫ります。

製薬5社からスタートした製薬×データサイエンスMeetup

--本日はお集まりいただきありがとうございます。まずは皆さんの自己紹介をお願いします。

澤邊 剛さん(以降 澤邊):
在学中は統計物理を専攻し、渋滞などの輸送現象を抽象化した確率モデルの研究をしました。数理科学を用いたソフトウェア開発企業を経て、アステラス製薬へ入社以来、ライフサイエンスの様々なデータ解析に従事しました。現在は、データ分析業務に加えて、センシング技術の適用に興味が広がり、実験室のDXも担当しています。

アステラス製薬 澤邊 剛さん

松野 匡志さん(以降 松野):塩野義製薬で医療情報担当者(MR)として勤務した後、シオノギビジネスパートナーに出向し、塩野義製薬および各グループ会社の採用活動に従事しました。開発や研究職などの採用活動を行う中で、データを扱う仕事に興味を持ち、社内公募制度利用してデータサイエンス部へ異動。統計解析やプログラミングについては自己研鑽の学習のみで、実務経験が浅かったところからのスタートで苦労もありましたが、現在は生成AIの社内活用プロジェクトのリーダー等を務めています。

塩野義製薬 松野 匡志さん

桑子 朋子(以降 桑子):日本科学未来館、国立がん研究センター研究所などでライフサイエンスを専門とするサイエンスコミュニケーションに従事した後、広告代理店を経て2020年に中外製薬に入社しました。現在は全社横断でDXを推進する組織でこのnoteをはじめ社外への情報発信やデジタル人財育成を担当するとともに、広報業務に携わっています。

中外製薬 桑子 朋子

Meetup立ち上げのきっかけとは?

桑子:私はCHUGAI DIGITALのブランディング担当ということで中外製薬にキャリア入社したのですが、その時のジョブディスクリプションが「DX推進を目的に『中外製薬=デジタル』をイメージづける」でした。製薬企業がこんなポジションを作ることに驚きましたが、その一方で、「面白いことがたくさんできそう」と感じました。このMeetupの立ち上げもそうした流れから生まれたものです。
製薬業界におけるデータサイエンス活用の幅の広さや仕事としての魅力が十分に認知されていない、他業界に人財獲得やパートナリングの面で競り負けているという課題を整理し、どのようなイベント内容であれば届けたい方々に情報を届けることが出来るかを構想し、イベントを立ち上げました。
 
松野:Meetupが始まったのは2021 年で、当時は5社での立ち上げだったそうですね。
 
桑子:そうです。外部向けのデータサイエンスイベントを1社だけで企画してもインパクトに欠けます。同業他社と非競争領域で手を組めば、新たな価値を共創できるのではないかと考え、各社のDXやデータサイエンスをリードする方にお声がけして趣旨に賛同いただくことから始め、まずはトライアルとして5社で主催しました。

澤邊:アステラス製薬には機械学習やテキストマイニングを用いたデータ解析を専門とする部署は当時既にありましたが、製薬企業にそのようなデータ解析の専門職があることをあまり認識されておらず、人材獲得の面で課題がありました。数理、情報系の人材への製薬業界のプレゼンス向上が必要だと考えていました。そのような中、Meetupへの参加のお話をいただいたので、良い機会だと捉えました。

松野:塩野義製薬が2回目から参加したのは、新卒の採用増も見据えてのことでした。当時、データサイエンティストの新卒採用は難しく、エントリー数も少なかったです。Meetupを通じて情報系の学生にも興味を持って頂きたいと考えました。

9社共創の理由は「同じ課題を抱えていた」

桑子:DXの社外発信の業務を担当するまで、私自身、「製薬企業のデータサイエンティスト」という職種について知識も関心も薄く、当時は調べてもあまり情報がありませんでした。一方で、データサイエンス分野一般でいうと、ナレッジやデータを業種や専門性を超えコミュニティでオープンに共有し合うカルチャーがありますよね。その点、製薬業界ではどうでしょうか。
 
松野:製薬業界でも、例えば統計解析ソフトSASを用いるプログラマー同士のつながりは密であると感じますし、そうした関係性は一定、築かれているように思います。弊社と武田薬品さんとで「ナニワデータサイエンス研究会」といった関西リージョンのイベントも開催していますし、製薬企業だからクローズにしているということはなく、オープンにしたいという気質はあるのだろうと思います。

現在注力している各社のデータサイエンス社外発信

松野:塩野義製薬のデータサイエンス部は情報の発信に力を入れており、独自の「SHIONOGI DATA SCIENCE FES」を開催しています。もともと社内向けのイベントとして毎年実施していますが、社外への発信に対するモチベーションが高まり、2022年度より社外向けにアレンジして開催するようになりました。大変多くの方にご参加頂いています。
 
桑子:中外製薬は現在、生成AIの全社活用に注力しており、その戦略やユースケースを積極的に社外発信しています。2023年3月からトライアルを開始し、最近では社員向けの生成AIアプリ「Chugai AI Assistant」を内製開発し、2024年5月に全社リリースしました。ただしそれだけでは「ツールができた」というだけの話になってしまうので、自社だけでなく業界全体の活性化につながるような成果や役立つ情報を発信していきたいです。

澤邊:アステラス製薬はデータ駆動型の創薬や経営を実践しており、例えばTokyo-1プロジェクトへの参画することなどでDXの取り組みについて社外発信を行っています。Tokyo-1プロジェクトではGPU計算リソースの確保に力を入れています。創薬研究にLLMを最大限活用できるようにドメイン特化型の独自LLMの開発に挑戦しています。

製薬ドメイン以外の方も楽しめる見どころ満載のイベント

澤邊:生成AI活用事例に限らず、製薬企業共通の課題感を知る上で今回のMeetupは非常に有用と思います。創薬研究におけるデータ解析では、いわゆる説明可能なAIのような技術が重要です。例えばAIが提示する薬の候補物質のランキングでは、既知の結果を用いてAIの結果が正しいことを確認することだけでなく、結果の根拠を解釈できるように提示することが重要です。なぜその候補が上位なのかの理由がわかることが、候補物質の魅力度に影響するからです。
製薬企業内では、他の業界と協業が必要な業務が実はたくさんあります。Meetupを通じて他業界の人にも製薬企業のデータサイエンスに興味を持ってもらい、各社の課題解決につなげられればいいですね。

松野:データを活用して直接的・間接的に医薬品の発展につなげ、ヘルスケアに貢献できるのはとても素晴らしいことで、まずそのことをお伝えしたいです。しかしそのプロセスに存在する無数のデータを、製薬企業はまだ完全にハンドリングできている状態とは言えません。Meetupで多様な知見を持つ方々と交流できれば、私たちにとっても有意義ですし、参加者の方にも新たな気づきがあるのではないでしょうか。

桑子:5社でスタートしたMeetupがやがて8社になり、今回は第一三共さんも加わって9社に拡大しました。また、私たちのイベントの趣旨に共感いただきました日本ディープラーニング協会(JDLA)にも後援いただくことが決定しました。
毎回事務局が入念に企画を練っていて今年も製薬企業のバリューチェーンにおける多様性がわかっていただけるよう工夫しているので、製薬ドメイン以外の方にもデータの面白さや活用法を体感いただけると思います。

当社のミッションに「世界の医療と人々の健康に貢献する」というステートメントがありますが、今回参画する製薬企業の皆さまも、共通の思いを持っていると思います。9社が共創することで、その目的に向けて新たな一歩を踏み出せればと願っています。イベントは2部構成で、2部では各社の人事担当や講演者のデータサイエンティストと直接ディスカッションができます。9社それぞれの特徴を深く知る機会になるので、ぜひご参加ください。

【イベント詳細】
日時:2024年8月24日(土) 13:00-17:00
形式:オンライン(Zoom配信)
詳細・事前申し込み(無料) 
https://pharm-datascience2024.peatix.com/ 

プログラム】
13:00 開演
 
<第1部>
13:03-13:10  オープニングリマーク
13:10-16:20  9社によるプレゼンテーション(各20分)
 
13:10-13:30
① 第一三共株式会社
『社内データを活用した機械学習モデル構築の自動化と予測可視化ツールの開発』
白石 幹/ 研究統括部 モダリティ第一研究所
 
13:30-13:50
② アステラス製薬株式会社
『創薬研究とLLM - 令和版自然言語処理を用いた創薬研究支援の最前線 -』
髙橋 啓吾/デジタルX リサーチX リサーチインフォマティクス
 
13:50-14:10
③ 中外製薬株式会社
『生成AIが解き明かす、臨床試験成功の鍵』
徳山 健斗/DXユニット デジタル戦略推進部 データサイエンスグループ
関山 拓也/臨床開発本部 バイオメトリクス部 PHCDSグループ
  
14:10-14:30
④ 住友ファーマ株式会社
『Server Lessで構築するクロマトグラフ波形解析ツール』
井深 健太郎/ データデザイン室
 
14:30-14:40 休憩
 
14:40-15:00
⑤ 武田薬品工業株式会社
『生成AIを軸とした業務プロセス改革:実装アーキテクチャからアセット化まで』
大和田 あゆみ/ ジャパンファーマビジネスユニット データ・デジタル&テクノロジー部

15:00-15:20
⑥ 小野薬品工業株式会社
『大規模言語モデルを活用したリアルワールドデータ分析支援の取組み』
渡邊 崇/ デジタルテクノロジー本部ビジネスソリューション一部データ戦略課
  
15:20-15:40
⑦ 田辺三菱製薬株式会社
『医薬品営業における顧客データとは-データサイエンスが導く営業戦略-』
中西展大/ 日本医薬事業本部 マーケティング部デジタルマーケティンググループ
 
15:40-16:00
⑧ エーザイ株式会社
『データサイエンスと認知症領域におけるリアルワールドデータ活用』
佐々木 光太郎/Human Biology Integration Human Biology Data Ecosystem Department
  
16:00-16:20
⑨ 塩野義製薬株式会社
『次世代の価値創造に挑むSHIONOGIデータサイエンス-DWH、データカタログ、MLOpsの進化-』
坂井 聡/DX推進本部データサイエンス部データエンジニアリングユニットコンピューターサイエンスグループ
山下 彩花/DX推進本部 データサイエンス部 データエンジニアリングユニット データエンジニアリンググループ
高市 伸宏/ DX推進本部 データサイエンス部 データエンジニアリングユニット コンピュータサイエンスグループ
 
16:20-16:25 クロージング
 
<第2部>
16:30-17:00 企業別キャリア相談会(Zoomブレイクアウトルーム使用)
 
本件のお問い合わせ先
下記リンク先の「主催者へ連絡」フォームをご利用ください。
https://pharm-datascience2024.peatix.com/