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アパレル業界から中外製薬へ転職したインフラエンジニアが解説|CCI(Chugai Cloud Infrastructure)構想とは

こんにちは、CHUGAI DIGITALです。中外製薬のDXにおいて、次期ITインフラの目玉となるべく始動したCCI(Chugai Cloud Infrastructure)構想。全社共通のクラウド基盤として、CCIは2023年度中のサービスインを目指しています。このCCIプロジェクトの戦略策定をリードするのが、キャリア入社のインフラエンジニア、横田大典(中外製薬デジタルトランスフォーメーションユニット ITソリューション部)です。インタビューでは、横田が中外に転職した理由、CCI構想の全体像、CCIとCSI(Chugai Scientific Infrastructure)との関係、SRE(Site Reliability Engineering)の考え方、求める人財・パートナー企業について聴きました。

横田のプロフィール:
SIerのインフラSE、ファーストリテイリングのコーポレートインフラ担当を経て2021年に中外製薬にキャリア入社。ITソリューション部エンタープライズアーキテクチャグループにて、主にエンタープライズ向けのグローバルITインフラ基盤をリード。趣味はジャンクPCの修理。

−アパレルから製薬へ。一見かけ離れた業界ですが、インフラIT戦略企画担当として中外製薬にキャリア入社したきっかけは?

横田:15年以上様々な業界でITインフラに従事していると、一般的な企業のITインフラ基盤はどの業界でも求められることは同じであることに気付きます。とくにセキュリティ対策やIT運用など共通している部分が多く、その点で業界の違いは大きなハードルにはなりませんでした。

横田:中外製薬のITインフラ基盤を用途別に分類すると、研究・開発部門が創薬のための分析や共同研究を行う「サイエンティフィック領域」と、一般企業同様に営業やコーポレートを支える「エンタープライズ領域」の2つがあります。「サイエンティフィック領域」のインフラについてはデジタル戦略推進部が中心となり2020年にAWSを採用したCSI(Chugai Scientific Infrastructure)をサービスインしています。一方、「エンタープライズ領域」ではMicrosoftの提供するAzureをメインで現在利用しており、今後はAWSやGoogleの提供するGoogle Cloud Platform(GCP)を含めAWS,GCP,Azureのマルチクラウド環境を検討しています。

2021年に私が入社した際の最初のミッションが「エンタープライズ領域のインフラ基盤の全体最適化」だったのですが、CSIを立ち上げたデジタル戦略推進部のメンバーと議論したり社内ユーザのニーズを聞いているうちに、CSIとエンタープライズ領域のITインフラ基盤に被ることが多いことがわかってきました。例えばネットワーク、セキュリティ、IT運用などです。また、社内の利用者から「どっちを使えばいいの?何が違うの?」という意見も多く聞こえてきました。

そこでデジタル戦略推進部のメンバーと協議を重ね、CSIの経験とノウハウを活かした「サイエンティフィック領域」と「エンタープライズ領域」の両方が乗っかる「真の全社クラウド基盤」を構築すべきだと考えるようになったのです。これがCCI, Chugai Cloud Infrastructureです。
CCIの全体構成とねらいは次の図をご覧ください。CCIは2023年度にサービスインを目指しています。

今後の中外DXを支える次期クラウドの絵姿・実現目標

CCIのねらい
・クラウドサービスの統一
・クラウドセキュリティの標準化、ガバナンス体制の強化
・インフラ関連サービスのコスト低減、品質向上
・継続的な機能改善、拡張により、テクノロジーの深化に追従

−CSIで得たノウハウを活かしサイエンティフィック、エンタープライズで共通するクラウド基盤CCIへと延伸させる。企業のインフラとして当然とるべき方針とも見えますが、実際のプロジェクト化にあたっては、どうスピード感をもって組織を動かしたのですか?

横田:これまで、別々の組織で管理運用されてきた「サイエンティフィック領域」と「エンタープライズ領域」のITインフラ基盤ですが、

  • 社内の利用者の目線ではどちらの環境を使うべきか分かりくい

  • セキュリティ、ネットワーク、IT運用が非効率である

といった課題を解消すべきなのは明らかでした。

タイミングとして、全社DX推進により人と組織の変化が起きていたこと、先にCSIで実績が出ていたことの影響は大きいと思います。まさに、志済さん(デジタルトランスフォーメーションユニット長)が言っていた「大きい山は後で動かし、小さな山に先ずは手をつけて実績をつくるやり方」です。大きい山が今回のCCIです。ついに大きい山を動かすタイミングが来たと実感してます。

入社して半年も満たない時期でしたが、各部門にヒアリングしたりデジタル・IT投資に関する会議に提案したりと具体化を始めたら、すぐに賛同が得られプロジェクトが軌道にのりました。

私の所属するITソリューション部(ISOL)は、以前は“バックオフィスの情シス”的な部署でしたが、今ではISOLとデジタル戦略推進部がワンチームとなって全社のITを革新し、ビジネスに貢献するという役割を担うようになっています。社長の奥田さんをはじめ経営トップが「DXでビジネスを革新し、社会を変える」と本気で考えており、トップダウンで強いメッセージを出していることが後押しになっています。

私は入社以来、ほぼフルリモートで仕事をしていますが、中外製薬の社員はチャットや会議で相談にすぐのってくれ、たとえ面倒な案件でもとても親身になって対応されるので、やりやすいですね。

−現在は構想段階ですが、CCIが“成功した”というための定量目標、得られるビジネス成果はなんでしょうか?

横田:プロジェクトや各部単位でインフラ基盤を払い出す際のコストおよびリードタイムを低減させ、高品質でセキュリティが確保されたITインフラ基盤を提供することを目指しています。これにより、デジタルを活用した革新的な新薬創出と、すべてのバリューチェーン効率化に貢献し、全社DXの加速を推進します。
CCIによる効率化で生まれるリソースは、インフラ自動化の高度化に振分けます。
インフラ基盤だけではなくITサービス全体の安定運用を目指しながら、インフラ基盤をほぼ100%自動化し障害の予兆を検知して自動で修復するというところにも注力したいです。
まさにGoogleが提唱しているSite Reliability Engineering(SRE)の考え方です。

−さまざまな業界がある中で、中外のインフラの仕事はガバナンスや規模、ロシュのITメンバーとの関わりなど、他にない特徴はありますか?

横田:まず、製薬企業として遵守すべき法規制などのレギュレーションがあり、中外製薬はその中でもセキュリティとガバナンスの求められるレベルが高く、ロシュグループの一員としてグローバル対応も必要です。入社当初は予想以上の厳しさに苦労しましたが、高いIT品質とスピードの両方を求められるので非常にチャレンジングな環境です。

前職では先人たちが完成させた土台があるなかでの挑戦でした。
対して中外製薬は白地図をこれから塗り上げるというイメージです。
過去の課題や経験を活かしながら最新のテクノロジーを活用して、今いる仲間と一緒に土台をゼロから作り上げていくプロセスに、非常に面白みを感じています。スピード感を重視し、ヘルスケア産業のファーストペンギンを目指したいです。

また、世界のトップ製薬企業であるロシュとの関わりも魅力的です。予想以上にロシュのIT部門との距離も近く、いつでも気軽にコミュニケーションをとることができる環境です。
中外製薬で新しいことを試すために、ロシュが導入したソリューションを輸入したり、アーキテクチャー等を参考にしたりしています。

−CCI構想では新規システムの導入、運用の内製化がスコープに入っています。今後求めていく、新しい仲間、パートナー企業へのメッセージをお願いします。

横田:中外製薬のDX戦略は経営層のビジョンと戦略が明確で分かりやすくブレがありません。それが全社員に浸透しています。私が所属するデジタルトランスフォーメーションユニットにはITコンサルタント、シンクタンク、Sler、製造業などのメーカーと、さまざまな業界から転職してきたメンバーがおり、新しい風が吹いていると感じます。また、適切なワークライフバランスのもとやりがいをもって仕事ができる、とてもよい環境だと思います。

現在デジタルトランスフォーメンションユニットではCCI構想を一緒に実現していく仲間を募集しております。
他業種からの転職を歓迎しており、多様なメンバーの融合で新しいアイデアを生み出すことを期待しています。
特にチャレンジ精神がある人、自分で企画・検討して実行までもっていける人は活躍できると思います。

カジュアル面談やリファラル採用も積極的に行っていますので、少しでも興味持っていただいた方はぜひ気軽にコンタクトしてもらえたらと思います。
また、中外製薬は、ヘルスケアにかかわる世界中のプレーヤーが「中外と組めば新しい何かを生み出せる」と想起する会社を目指しており、一緒にイノベーションを生み出す世界中のパートナーも募集しています。

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