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効果的なデータ活用のためにはビジネス部門との連携が不可欠!臨床開発本部データサイエンティストが語るキャリアの魅力

こんにちは、CHUGAI DIGITALです。
中外製薬では、重要なデジタル人財の1つにデータサイエンティスト(DS)を据えています。これまでのnote記事でもご紹介の通り、リアルワールドデータの取組みや病理画像解析 等、様々なシーンでDSが活躍しています。
今回は、臨床開発本部 バイオメトリクス部 淡路直人と同部PHC*1データサイエンスグループ(PHCDSG)に所属し現役のDSとして活躍する丹尾真理子に、中外製薬におけるデータサイエンス×ビジネスの重要性や組織の在り方、およびキャリアについて聞きました。

“技術にとがる”だけがDSではない。ビジネスとのマッチングに存在する楽しさ

淡路:私たちが所属する臨床開発本部は、創薬から営業までのバリューチェーン上で丁度真ん中に位置しています。また患者さんデータを保有しているため、これまで上流からも下流からもデータ解析のニーズが多く寄せられていました。そのような社内ニーズにデータサイエンスを通じて答えながらインサイトを創出していく部署として、2020年にバイオメトリクス部内にPHCDSGを立ち上げました。PHCDSGは、様々な患者さんのデータを分析することで知見を得て患者さんへの価値に変換することを業務の目的としています。

丹尾:PHCDSGでは、ビジネス側からのニーズを受けてデータ分析案件が立ち上がることが多いですが、時には自分たち起点でビジネス側に働きかけることもあります。どちらにおいても、ビジネス側と要件をすり合わせ、解析結果をわかりやすく伝えてビジネスに活かすというデータ分析案件の入口と出口が大事だと考えています。
まず入口では、データへの深い理解が前提となります。その上で、コミュニケーションを重ねながらビジネス側のニーズの解像度をあげていき、ビジネスニーズとデータと解析技術がマッチングする点を探ります。そして出口では、ビジネス側に解析結果を理解してもらう、すなわち「伝える」ことにこだわります。評価項目1つとっても、解析結果をビジネスに活かすためには何を選ぶべきなのか、検討や工夫が必要になります。
DSと聞くと、高度解析だけをするような技術的にとがった人財を想像されるかもしれませんが、それだけではなく、ビジネスとの接点にもやりがいや楽しさがあります。自分たちが提案した内容がうまくピタッ!とビジネス側のニーズにはまると気持ちがいいです(笑)

淡路:技術ではなく、企画力に長けている、そんなDSがいてもいい。むしろそのような人財がいてはじめて、データサイエンスがビジネスに活きるのかもしれません。

淡路 直人
1995年日本ロシュ(現中外製薬)入社。
臨床開発本部 バイオメトリクス部の部長と本部DXリーダーを務めており、
DX案件施行に日々奔走している。

最初は、ビジネス側もDS側も手探り。試行錯誤しながら、お互いが歩み寄ることで昨今の成果・取組みに

丹尾:とはいえ、最初からうまくビジネス側のニーズにマッチングできたわけではありません。私たちもビジネス側が何をやりたいのか捉えきれなかったり、ビジネス側もデータで何ができるのかわからなかったり…とお互いが手探りで、お見合いしたまま解析に入れないような状況でした。
そこで、まずは1度解析結果を出してみて、その結果にフィードバックをしてもらって、もう1度やってみて、というサイクルを繰り返すことにしました。その結果、それぞれの理解が深まり、徐々にプロジェクトを軌道に乗せることが出来ました。
今振り返ってみると、その試行錯誤によって“シンプルな言葉を使い、端的に説明すると伝わりやすい” 等の小さな工夫を含めた自分なりのセオリーができた気がします。

淡路:製品プロジェクトの解析業務は、DSが1人でではなく、チームとして協業して行う事だからこそ、近道はないかもしれませんね。またデータ分析に限らず、シンプルな言葉を使うのも重要な点で、自分自身も日頃からシンプルな言葉を使うよう注意しています。

丹尾: 最近は製品プロジェクトでの解析業務以外にも、ナレッジグラフ等の解析技術を自主的に学びビジネスに活かす活動を企画・開催しています。データサイエンス×ビジネスの重要性を伝えるようなボトムアップの活動を進め、CHUGAI DIGITAL AWARD*2 2022でBest Data Scientist Award*3を頂きました。

丹尾 真理子
2019年 中外製薬にキャリア入社。
臨床開発本部 バイオメトリクス部 PHCDSGに所属し、DSとして活躍。
2023年 CHUGAI DIGITAL AWARDを受賞。プライベートは二児のママ。

多様性とハブになっていく個人-DSを抱える組織の在り方

淡路:実はとあるプロジェクトをきっかけに、丹尾さんのDSとしての素養に気づき、PHCDSG立上げのタイミングでお声がけしたという経緯があります。

丹尾:前職はシステム会社で情報系システム開発のプロジェクトマネジメントや要件定義・設計・開発等をやっていました。 今でこそDSとして活動していますが、当初はデータマネジメントとしての採用でした。

淡路:DSの中でも、ビジネス型と称すべき人たちは一定の社内ローテーションを通じた育成を想定しており、素養があれば様々な職種からの転身が可能と考えています。
PHCDSGには、高度解析・プログラマ型とビジネス型が混在しており、お互いに刺激し成長を促しあっているように見えます。デジタル戦略推進部のような横串組織が必要と思いますが、私たちのような事業部門に紐づいた組織においては、一人ひとりが様々な部署と多様な経験を重ね、組織だけでなく一人ひとりが部門間をつなぐハブのような存在になっていく、今の形が合っているように思います。

自分が世界を変える-“好奇心を持って、未知のものを楽しむ”ことこそ、キャリアの第一歩

丹尾:元々は、自分がライフサイエンス業界(LS業界)で働くことは想定していませんでした。しかし、前職のクライアントで製薬企業勤務の方に言われた 「LS業界でデータサイエンスをすることが世界を変えるかもしれない」という言葉がLS業界を意識する1つのきっかけになりました。また、プライベートでも第一子が誕生するタイミングだったので、人の人生に関わり、人を助けるというヒーロー感のある仕事に就きたいという想いもありました(笑)

淡路:たしかにLS業界には“患者さんを助ける”というわかりやすさがあるかもしれません。そうは言っても業界も職種も未経験ということで、入社前後の葛藤や苦労はなかったのでしょうか。

丹尾:もちろん、一定のキャッチアップは必須でした。一方で臨床開発本部の場合、取り扱うのはヒトのデータなので、想像力を駆使することで、何とかやってこられた気もしています。
また、“やりたい”と手を挙げたら、必ず応えてくれる環境にも感謝しています。新しいことにどんどんチャレンジさせてもらえるし、PHCDSGにきたことで自分自身も成長したと感じています。

淡路:LSのデータに興味がある事は、LS業界のDS職に就く上で重要な点ですが、それと同じくらい、もしくはそれ以上に好奇心が大事と思っています。
例えばいきなり明日、業務について全く知見のない部署と協業することがありますから、どのような状況でも新しいことを楽しめるマインドは必要です。世界を変えたい、新しいことにチャレンジしたい、そんな想いこそが、DSとしてのキャリアの第一歩かもしれませんね。

*1 PHC:Personalized Healthcare/個別化医療
*2 CHUGAI DIGITAL AWARD:TOP I 2030・CHUGAI DIGITAL VISION実現に向けた、先進的な案件や中外のビジネスに大きく貢献する社内のデジタル関連活動にてDX推進に大きく貢献した社員の功績を称える制度​
*3 Best Data Scientist Award​ : データサイエンスの観点からハイレベル、チャレンジングかつユニークな取り組みを行った個人が受賞対象 ​

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