ITベンダー役員から製薬会社にキャリアチェンジして1年。志済聡子が語る、本気のDX。
見出し画像

ITベンダー役員から製薬会社にキャリアチェンジして1年。志済聡子が語る、本気のDX。

こんにちは、CHUGAI DIGITALです。

8月に「DX銘柄2020」に選定されたこともあり、中外製薬のDXの取り組みについて新たに興味を持たれた方もいらっしゃるかもしれません。

「デジタルでヘルスケア産業のトップイノベーターを目指す」という2030年ビジョン達成に向けての道のりは、まだはじまったばかりです。この1年で当社のデジタルトランスフォーメーション(DX)がどこまで進み、これからどこに向かうのか、執行役員 デジタル・IT統轄部門長の志済聡子(しさい さとこ)に聴きました。

デジタル技術のパートナーとして当社のDX戦略に関心を持たれた企業の方、当社のリクルート方針を知りたいデータサイエンティストやデータエンジニアの方向けの内容です。

画像2

日本IBM執行役員から中外製薬へ

志済:noteユーザのみなさん、はじめまして。志済聡子です。

2019年5月に日本IBMから転職し、中外製薬のデジタル・IT統轄部門をリードしています。IBMでは官公庁をクライアントとした営業部門の統括、米国本社出向、サイバーセキュリティ部門立ち上げなどを経験しました。製薬会社へのキャリアチェンジは、私個人の人生にとっても大きな転機となりました。

― 約1年前に中外製薬に入社し、最初に見つけた課題はなんでしょうか?

志済:まず思ったのが、中外のITシステムが日本の事業会社の平均に留まっているということです。ITシステムが部門ごとに最適化され、全社的なアーキテクチャ、それに基づくシステム構築がなされていない。これを変えていく必要があると強く感じました。

画像3

デジタル基盤を強化。「Chugai Scientific Infrastructure(CSI)」とは

― そこで推進したプロジェクトの1つが、データ利活用基盤「CSI」ですね。

志済:CSIは、Chugai Scientific Infrastructure の略。大容量のデータをセキュアにアクセス、移動、保管するためのIT 基盤です。これにより、社内データの部門横断的利活用やゲノムデータ等の高いセキュリティが要求されるデータの安全な取り扱いはもちろんのこと、アカデミアや医療機関、パートナー企業等、社外との共同研究プロジェクトを100以上同時に推進する研究環境が提供できるようになりました。

AWS ジャパン・中外製薬_製薬業界におけるデジタルトランスフォーメーションの取り組みに関するオンライン記者説明会_登壇資料(中外製薬)

共同研究に必要なITリソースの調達期間を 6 か月から 2 週間に短縮して、導入コストを従来と比べて 90% 削減するという成果を出し、アマゾンウェブサービスジャパン株式会社と共同で記者説明会を開きました。

― DX戦略におけるCSIの位置づけは?

志済:もともと中外製薬には、非効率と思われるオンプレミスの研究開発基盤が複数稼働していました。もっとライトに社外との共同研究が行える環境に変えようと決め、構築したのがCSIです。

しかし、従来のシステムをいきなり統廃合するのではなく、独立したフリーな環境でCSIを作り、その後に社内レガシーシステムと融合するという戦略を立てました。大きい山は後で動かし、小さな山に先ずは手をつけて実績をつくるやり方を採用しました。

2019~2020年は社外との共同研究の環境構築に集中したので、次はいよいよ、社内のレガシーシステムとCSIを融合し、社内データの統合・利活用を推進します。これにより、例えば従来は利用できなかったような大容量の臨床データを新しいテクノロジーで使えるようにします。あわせて、データ利活用の新たなルールづくりも始めています。

CHUGAI DIGITAL VISION 2030ができた背景

― なぜ中外製薬に転職し、その後すぐにDXの新しいビジョンを打ち出せたのでしょう?

志済:転職は、事業会社のデジタル・ITの責任者として全社ビジョン・戦略を自ら立てて意思決定するという、ITベンダーでは担うことが難しい役割に魅力を感じたことがひとつ。

そして何よりも、CEOの小坂さんのデジタルに対する期待値の高さが決め手になりましたね。何しろ、創薬という製薬企業の事業の根幹をデジタルで変えようというのですから。新薬創出には通常9年以上かかるとも言われていますが、その常識をくつがえしたいという、小坂さんの方針と熱意に惹かれました。だからこそ「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」では、バイオを始めとした独自のサイエンス力・技術力という中外がこれまで培ってきた強みをさらに伸ばしていくという前提をクリアにして、全社的な骨太の基本戦略を立てられたのです。

画像1

この図で言うと、先のCSIは「1.デジタル基盤の強化」にあたります。ソフトとハードの両面から基盤を強化し、「2.すべてのバリューチェーン効率化」によって得られる原資を「3.デジタルを活用した革新的な新薬創薬」等のR&Dに持っていきたいと考えています。 

図にするとシンプルですが、実は難関コースでもあります。効率化をゴールにしたDXではないので成果を出すのに時間がかかります。それでも、中外製薬にしかできない真の個別化医療を実現することでヘルスケアの未来に貢献したい。やりがいがあり、非常に面白い仕事だと思っています。

新しい仲間、パートナー企業に求めるスキルやビジョンとは

― 今後、中外製薬で一緒に働いてくれる未来の仲間にメッセージをお願いします。

志済:私は社外からポーンと入って執行役員になりましたが、よく皆さんが想像されるような「反発され、孤軍奮闘する」という意識が全くなく、ここまで来ることができました。中外製薬の社員は、当初は新しいDXの方針に多少の戸惑いはあったにせよ、今は「誰もやったことのない新しいことをするのだから、過去の経験値でできない理由を述べても仕方ない。デジタルで自己改革しよう」というマインドに切り替え、行動を始めています。

画像5

パートナー企業もそうですが、当社があまり経験していないキャリアやスキルを持つ方と一緒に「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」を実現していきたいです。当社の戦略や変化に適応できる、マルチに活躍するタレントを求めています。

具体的には、AI創薬、ウェアラブルデバイスによるデジタルバイオマーカーの取得・活用、リアルワールドデータの利活用といったR&Dでのデジタル戦略をリードできる方、マーケティングやデザインの領域でデジタル活用の経験豊富な方、社内システムでERPシステムの刷新に対応する知識・スキルを持った方などですね。

最新情報はキャリア採用サイトの募集職種一覧をご覧ください。

関連記事

中外製薬がデジタル創薬でAWS採用、社外との研究連携基盤構築コストが10分の1に |MONOist
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2007/17/news055.html

目指すは「AI創薬」 本気のDXで会社を変える|日経クロステック
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/nc/18/020600003/043000029/

「デジタル使い本気で中外製薬を変えよ」、経営者から託されたベンダー出身者の使命|日経クロステック
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01159/043000005/


CHUGAI DIGITALの公式アカウントです。中外製薬のデジタル技術への取り組みや、患者さんに革新的な医薬品を届けるための想いを発信します。