中外製薬のデジタル基盤グループの社員が解説。サイエンティフィッククラウド「CSI」で実現した全社クラウド基盤・高度解析インフラとは
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中外製薬のデジタル基盤グループの社員が解説。サイエンティフィッククラウド「CSI」で実現した全社クラウド基盤・高度解析インフラとは

CHUGAI DIGITAL|中外製薬

こんにちは、CHUGAI DIGITALです。
ヘルスケア産業のトップイノベーターを目指す中外製薬が掲げるデジタル戦略の基軸の1つが、「デジタルIT基盤の強化」です。今回のnoteでは、その中でも当社のデジタル戦略推進部デジタル基盤グループが担う「全社クラウド基盤、高度解析インフラ」についての戦略や考え方、プロジェクトメンバーの取組みについて紹介します。

協力:芦原基起、内山博史(デジタル戦略推進部 デジタル基盤グループ)

中外製薬のサイエンティフィッククラウド「CSI」が生まれた背景

製薬企業である中外製薬は、創薬関連の研究データ、臨床開発の治験データなど膨大かつ多様なデータを扱います。かつての中外のITは、研究本部、臨床開発本部など部門ごとにオンプレミスのシステムを構築・運用していたのですが、ここ数年はデジタル戦略のもと、オンデマンドにスケールアップ/スケールアウトできるクラウドへと切り替え、より良い環境構築を目指しています。

その中で2020年にサービスインしたのが、当社のサイエンティフィッククラウドである「Chugai Scientific Infrastructure, CSI」です。大容量のデータをセキュアに保管、解析するための全社データ利活用基盤としてAWSをベースに構築しました。

CSI構築の立役者となったのが、デジタル戦略推進部デジタル基盤グループです。メンバーの一人である芦原基起は、創薬研究者のバックグラウンドをもちながら、研究本部のITシステム投資に長く関わってきました。

芦原「クラウドが主流でない時代からITをやってきました。新しいIT技術の導入もいくつも行いましたが、オンプレミスにIT設備を保持する管理コストがかかる中、技術進化が加速し、新規技術へのアクセスに時間がかかるなどの困難さがありました。インフラ管理コストを軽減し、新規技術の導入・評価を簡易化するにはどうしたらよいのか。課題解決には、クラウドへの移行は必然の選択だったと思います。さらに私たちは、環境自体を強みにして、大学など外部からデータ寄託されるレベルのサイエンティフィッククラウドを社内につくるべきだと考えていました。このときの議論や発想が、現在のCSIのアーキテクチャにつながっています」

全社データ利活用基盤「Chugai Scientific Infrastructure(CSI)」

「CSI」を用いた全社データ活用促進をビジネス成果につなげるために、インフラチームがやっていること

CSIは現在、社員が解析環境として利用するだけでなく、アカデミアや医療機関、パートナー企業など外部ユーザとの共同研究プロジェクトを迅速に推進する研究環境として設計され、

  • 構築期間を 6 ヶ月から 1 週間に短縮

  • 環境構築のコストを 90% 削減

といった成果をあげています。

CSIを利用する社内外ユーザの声を聴き、伴走するのが内山博史(デジタル戦略推進部デジタル基盤グループ)です。

内山「私は主にCSIのプロジェクトマネジメントを担当しています。CSIを構築するプロジェクトを手掛け、サービスイン後は、ユーザの要望に応じて環境の払い出しを行っています。ユーザにCSIを提供するだけでなく、ユーザの声を聴き、彼らが感じている潜在的なニーズやペインポイントを見つけ、それを解消するデザインは何かを考えることを大切にしています」

AWSを基盤とするCSIは、複数のITベンダーによって運営されています。内山はベンダーの皆さまとユーザの間に立ち、ユーザに円滑サービスが行われるようユーザの要望を整理しベンダーへ伝えるとともに、ベンダーサービス状況を監督し的確なサービスの提供を担保しています。また、新しいテクノロジーの導入あたっては、テクノロジーの評価を行うとともに、ユーザが安心して利用できる状態でサービスインするためのプロジェクトの監督を行っています。

内山「中外の社内ユーザは十分なデータ解析のスキル・経験はあります。その上で新しいテクノロジーを使ってデータ解析者としてのケイパビリティ―をどこまで伸ばせるかというところをIT側の専門家として一緒にトライアンドエラーし、育てていくという気持ちでやっています。我々のゴールはインフラの利用促進ではなく、ビジネス課題の解決なのです」

芦原「研究者としてのバックグラウンドをもつ私の役割は、研究や臨床開発の現場がやりたいことを“あるべき姿”として的確に理解し、IT的に企画し具体化していくことです。ビジネスとITの間の通訳及びコンサルといえます。例えば、プライバシー保護を中心とした法規制や契約の順守などを理解した上で、種々のプロジェクトのリスクや課題、解決策を割り出しています。また並行して、1ユーザとして自らデータ解析プロジェクトを立ち上げシステム構築なども行っており、これにより、現場目線が維持できていると思います。自分の知見・スキルをCSI のプロジェクトのアプリケーションの1つと捉え、新しい医療や科学の発見につなげることはとても楽しいです」

CSI 1.0から2.0へ。鍵となるのは、セキュリティと利便性の両立

昨年、2021年には、CSIはCSI 2.0としてバージョンアップがしました。CSI 2.0では、さらなる高度解析環境の提供、環境構築コストの削減と時間短縮、安全性リスクの低減が実現されました。2.0で最も進化したのが、セキュリティと利便性の両立です。

内山「まず、セキュリティというは、ユーザの観点ではなぜ必要なのか解り難いポイントです。これは、実際に被害に遭わないと必要性を感じませんし、ユーザからは実体が見えないためです。一般ユーザはハッカーがどのようにデータを盗みに来るか知りません。CSIは個人情報等非常にセンシティブなデータ(資産)を取り扱う基盤として構築したことから、CSI 1.0を構築した際も厳重なセキュリティを設定しました。ただ、セキュリティをかなり重視したことから利便性向上のリクエストをユーザから多く頂きました。そのため、CSI 2.0は技術調査を行い、セキュリティレベルを落とさず、可能な限りこれらのリクエストに対応した基盤になっています」

 ロシュ社とのシナジーでITのWin-Winを築いていく

中外のデータ解析環境の特色の1つに、ロシュ社とのアライアンスがあります。研究開発や医薬品生産販売においては、グローバル基準にそった海外とのデータの授受や、解析環境の払いだしの自動化、適切な管理が必要となります。ここに世界トップ製薬企業であるロシュ社のIT資産、ノウハウを使えるのは、大きな強みとなっています。

芦原「例えば国際会議に参加すればグローバルのITの概観的な情報を得ることはできますが、より具体的な事例や実装レベルの課題は見えてきません。私たち中外のメンバーには、先端のITツールを既に導入しているロシュのメンバーとFace to Faceで打合せをし、導入のプロセスや体制を学べる機会があるのは貴重です。もちろん学ぶ一方ではありません。ロシュと中外のITメンバーが同じ土俵で議論し、協働して研究開発を加速するためのよりよい環境を構築すべく、技術力の向上に励んでいます」

内山「はい、英語はやはり大切ですね。わたしも英語をもっと頑張りたいと思っています。数年かかりましたが、ロシュ社とはWin-Winの関係をITでも築けるようになってきたと思います」

デジタル基盤グループにおける、チームの強みと個人の成長

内山と芦原が所属するデジタル基盤グループは、今回ご紹介したCSIをはじめ、高度解析インフラ環境の構築・整備・維持・拡張・推進、アプリ内製にチャレンジするチームです。アプリインフラエンジニア、アプリケーションエンジニア、プロジェクトマネジャーなど、ビジネス要件にデジタル技術をフィットさせる専門家集団として、社内コンサルや先端のデジタル・ITの要素技術の調査・評価・技術検証を行っています。

芦原「デジタル基盤グループはキャリア採用で新しいメンバーが増えて、技術レベルが上がり、新しいことができる期待感が高まっています。社内のユーザ側のレベルも上がってきて、自分たちの研究開発の目的のために解析アプリをつくるという方法論が浸透してきました」

内山「自分のスキルアップのため、クラウドセキュリティ技術(CSPM、CWPP、CASB、CIEMなど )やHPC技術の情報収集、技術検証は欠かせません。資格取得にも各自で励んでおり、私は最近ではセキュリティのスキルを高めるため、情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)を取得し、米国の情報処理団体の資格であるGlobal Information Assurance Certificationも取得予定です。資格についていうと、デジタル基盤グループのメンバーはAWS Certified Solutions Architectを取得しており、そのほか各自の方向性に併せて資格取得が推奨されています」

デジタル基盤グループ語録

では最後に、デジタル基盤グループのメンバーがもつべきマインドセットとして、社員が日々心にとめている「デジタル基盤グループ語録」を紹介します。

1 目指すのは、システムの成果でなくビジネスの成果

2 IT要件定義→サービスデザイン

3 変化を受け入れ、ユーザからの不明瞭な要求に応え高速・自律的に新しいものを創造する処理する経験をつむ

4 我々は忍者。アジャイルは当然。守る領地は決まっていない

5 我々はフロントランナー。我々がいま困っていることは、将来、ほかの会社も困る。それを解決するデザインをつくる。事業会社のコストセンターではなく、自分たちの活動費を自分たちで稼ぐというマインドで仕事する

ご興味もたれた方は下記募集ポジションもご覧ください。

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2020.7.15 メディア向け説明会資料
「Chugai Digital Transformationの基本方針と CSI基盤のご紹介」(中外製薬株式会社)
「AWS ジャパンと中外製薬、製薬業界におけるデジタルトランスフォーメーションの取り組み」(アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社)
https://www.chugai-pharm.co.jp/profile/media/conference/files/200715jPresentation.pdf


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